読者からの公開回答:なぜソニーはアップルになれなかったのか?



Life is beautiful: 読者への公開質問:なぜソニーはアップルになれなかったのか?
なぜこんなことになってしまったのだろうか?そして、これからどうすればソニーは復活できるのだろうか?もしくは、真っ向からアップルと戦わないのであれば、ソニーはどんな企業になれば良いのだろうか?  このエントリーへのコメントでも、はてぶでも、Twitterでも(タグは #sonyap)、自分自身のブログへのエントリーを書いてトラックバックをする形でも良いので、ぜひとも皆さんの意見・味方を聞いてみたいと思うのでよろしくお願いする。活発な意見交換を期待する。


ということで、今回も私なりの意見を書いてみようと思う。

武器を最大限活かしきれなかった

ハードウェア(製品)の面から見ても、コンテンツ(音楽、映像、ソフト)の面からみても、ソニーはアップルに勝るとも劣らない企業であることはまぎれもない事実だと思う。ではなぜ、このような差が付いてしまったのであろうか。

それは、ハードウェアとコンテンツを繋ぐサービスが要因だと考える。
アップルにはiTunes Storeがある。アップルのiTunes StoreのWebページにはこのようなキャッチコピーがあった。
「歌いたい。踊り出したい。聴きたい。観たい。とにかく楽しみたい。そんなときはiTunesにおまかせ。」

アップルが持ちうるすべてのコンテンツをiTunes Storeという配信サービスが一元的に管理し、それらを、iPodiPadiPhoneiMacMacBookなどなど、今後も増え続けるハードウェアと結びつけているところがアップルの最大の強みであり、ソニーには見当たらない点。そして、新しいアップルTVの噂も流れているので、これによりますますアップルはその強みを絶対のものにするだろう。(アップルTVは据え置き型iTunes Storeなのかもしれない。iPadの母艦として動くとか。なんにせよ、わくわくするプロダクトであるのは間違いない。)

登った山に客がいない

ソニー製品はどのジャンルをとっても多機能で高性能だと思う。デザインも斬新で常に進化をしているという意味では、アップルに引けを取らない。
しかし、ふたを開けてみると、ぶくぶく膨れ上がった機能は、分厚い説明書と相まって、ユーザーの使いたいという欲求を削いでいるような気がしてしまう。
そのような供給過剰な製品は、持て余してしまう。
ソニー通には受けるが、そうなってしまうとニッチな市場でしか勝負できなくなる。
登った山はとてつもなく高いが、肝心の客がいない。

捨てることでコンシューマーに受け入れられたアップル

アップルは「捨てる(無くす)ことで価値を高めた」企業だといえる。「CD、MDなど物理媒体に見切りをつけ、オンラインで曲を購入し、PC内で管理できる」iTunes では、アップルのすべてのコンテンツにアクセスできる。捨てることは互換性やサポートの面で、古株のコンシューマーから嫌がられるリスクもありますが、捨てることで、それらに掛かるコストや手間を無くし、エネルギーを未来へ注げるようになる。
このような決断は、今いるレッドオーシャンを飛び出し、新たなブルーオーシャンを開拓し、イノベーションを起こし続けなければならないソニーやアップルなどの企業には不可欠な要素だと思う。そして、それがアップルにはあった。


ソニーがアップルになれなかった理由」まとめると、こうなる。
  1. ハードウェアとコンテンツを融合させ、最大限活かすことができなかった
  2. 機能と性能を追い求めるうち、ニッチな層でしか勝負できなくなった
  3. 捨てることで新たな変化を生む決断をしなかった

それにしても、ブログ上で発信された有識者の質問に、同じブログで答えられる(コメントやTwitterでも!)、さらには、iPhone/iPadのアプリから直接質問を投げかけられる、このような双方向に発信し、活発な意見の交換が行える時代ってなんてすばらしいんだろう。と改めて思いました。