『ウェブ進化論』を読んで

本書ウェブ進化論は、ウェブの世界を「こちら側」と「あちら側」に分けて、インターネットというものがまだまだ普及していなかった時代から現在までの変移を考察し、ウェブの世界が「こちら側」比重のものから「あちら側」へとシフトしていく過程が分かりやすく解説されている。


著者は梅田望夫さん。
favicon My Life Between Silicon Valley and Japan

本書では、今までの強大な力を持った集団の時代から、小さい力を持つ不特定多数無限大の時代に移り始めていると書かれている。
家庭、個人にインターネットが急速に普及した時代は過ぎ、今では当たり前のようにインターネットでニュースを読み、番組を視聴し、SNSなどで不特定多数の人とコミュニケーションをとる。

情報を共有し、意見を交わし、新たな発想を生み出し、さらに技術は加速する。そんなオープンな世界が今のウェブにどんどん広がっている。

ブログも今では自分の意見を述べるだけの場所ににとどまらず、コメントやトラックバックなどで意見を交わし、情報を交換する。さらに、アフィリエイトアドセンスなど本書でいうところの「自分の分身」が稼いでくる「バーチャルの経済圏」という構図が生まれた。

これからもますます、自分たちがウェブを駆使して何かをしようとする時の敷居は低くなり、裾野は広くなっていく。

この本は2年前に書かれ、「――本当の大変化はこれから始まる」となっているが、2008年の現在はその大変化の真っ只中にある。

ウェブ参入へのインフラは日に日に拡大していくことで、誰でもある程度の知識、技術を身につけられるようになった。でもそこから先に進んでいくというのが難しくなった。このようなジレンマを抱えているのも進化の側面として捉えておくべき。本書では「高速道路を抜けた先の大渋滞」と表現されてあった。

本書の最後にある、「ネット上の不特定多数無限大の人達にリアル世界でこの本を手にとってほしい」という言葉は、不特定多数無限大が生み出す新たな価値と「個」が持つ力の大きさを認識してほしい、という意味ではないだろうか。