マルキール、エリス対談(2)適正な配分を選択する【文字起こし】



司会:投資においては、適切な資産配分が不可欠だと言われます。資産配分とは何か、また何故、それがそんなに重要なのか、エリス博士、説明していただけますか?

エリス氏:そうですね、資産配分は投資で最も重要なことです。つまり、株式、債券、キャッシュといった資産クラスにどのように配分して投資していくか、ということです。資産の配分は、投資における基本的な枠組みです。

司会:本書(=『投資の大原則』)の中で、様々な資産の組み合わせについて述べられていますね。どのような資産配分が適切であるかを、どのように判断するのですか?

マルキール:若い人たちはおそらく、年齢の高い方や退職されている方、利息と配当金で生活している方よりもエクイティ、すなわち株式の比率を高めるべきでしょう。
つまり、株式のリスクが非常に高いことを考えた場合、一般的に若ければ、避けられない株式市場の変動を乗り越えるために必要な長期の投資が可能です。
しかし、退職後の生活を考えてみると、60代で引退した場合でも、おそらく20年か、それ以上先を見据えることができます。そのため、退職後でもいくらかの株式投資はしたい。ただ、その配分は、例えば20歳の若者の場合よりは小さいはずです。


エリス氏:ここで重要なのは、自分の状況、そして自分が持ち合わせている投資知識を評価することです。自分一人でそれを分析できますか?
もしできなければ、実際にどんな選択をすべきか一緒に考えてくれる誰かに頼るべきです。さらに、自分の性格も分析してください。特定の変動に耐えられないのであれば、そう認めるべきです。
市場での変動などのリスクに対する感情的な許容量は人それぞれです。自分に正直になりましょう。特定の変動に対して動揺するようであれば、そうならないように、自分が受け入れられないことはやらないことです。
しかし、自分自身を知り、自分が耐えられる範囲の市場の動きを特定できる限り、「方針を変えない」ことが長期投資を成功させる最も重要な部分です。市場変動については、安心して方針を維持できる範囲の上下動でなければなりません。同時に、その方針から長期的に一定の恩恵を引き出すのには、十分な大胆さも必要です。


司会:では、マルキール博士、いったん資産配分を設定したら、設定したまま放っておくのではないのですね。どのようにして、適切な資産配分を保つのですか?

マルキール:そうですね、投資家にとって非常に効果があるテクニックに、リバランスというものがあります。リバランスの意味を簡単に言えば、資産配分が自分に合っているかどうか、年1回など定期的に見直すことです。例えば、仮に株式50%、債券50%という配分に決めたとします。そして毎年、資産配分をチェックします。さて、株式相場が急落し、景気後退期に入ったとしましょう。で、その時点で金融当局が利下げを実施する。金利が下がり、債券価格が上昇した結果、自分のポートフォリオを見てみると、株式/債券の比率が50/50ではなく40/60になってしまった。
そこで理にかなっているのは、債券の一部を売却して比率を50%に下げ、その資金で株式を購入して株式の比率を50%に高めることです。これがリバランスの意味です。
年1回程度、定期的にポートフォリオを見直し、安心できる資産配分が維持されていることを確認します。