マルキール、エリス対談(4)コストを抑える【文字起こし】



司会:厳しい経済状況にある現在、多くの人がコストに目を光らせていますが、投資でコストに注意することがそんなにも重要なのはなぜでしょうか?

エリス氏:これはおそらく投資分野で最も話題になっていない、それでいてとても重要なトピックです。なぜなら、多くの人は投資手数料を見て、「ああ、大したことはない。たった1%だ」と思うからです。それについてもう少し説明させてください。何の1%なのでしょう?投資資産の1%なのです。しかし、それはあなたの資産です。運用マネージャーから何か得られますか?はい、リターンを得ています。そうですよね。
 では、リターンのほんの一部としての手数料とは何ですか?例えば、10%のリターンを得たと仮定します。ちょっと楽観的ですが、計算が簡単なので。その1% の手数料とは、10%のうちの10%です。

 私が言いたいのは、「ちょっと待って。ちょっと待って」ということです。シンプルなインデックス・ファンドで運用しても、市場平均のリターンを得られます。人々がまったく注意を払わない第2の問題は、回転率のかなり高いポートフォリオである場合、売買の度に、もし値上がりしていれば、短期売買利益になることです。
 この利益は長期利益よりも高い税率の課税対象となり、税金分だけポートフォリオの価値が低下します。取引を最小限に減少できれば支払うべき税金を削減でき、通常の収入からキャピタルゲインまで、適用される税率も低下させることができます。そして投資から得られるリターンに対して、支払うコストを削減すると同時にそれができたら、二つの点で有利になります。


司会:マルキール博士は投資のコストとリターンについて、多くの研究をされていますね。どのような関係があるのですか?

マルキール:私はずっと投資信託のリターンの研究をしてきました。この研究は通常、数年おきに行っています。統計の中で極めて明白であることは、投資信託の運用実績はコストと回転率の影響を強く受けるということです。
 これは税制上不利な回転率を除外した場合でさえ、当てはまることです。私自身の研究によれば、パフォーマンスの点で上位4分の1の株式投信を選ぶ確実な方法は、コストと回転率が下位4分の1の投信を選ぶことです。