「残業ゼロ」の人生力 - 定年を迎えたら、強くてニューゲーム、「本生」こそ人生の醍醐味

自分の人生は自分で作り上げ自分のペースで生きるという当たり前のことを気付かせてくれた本。
目次
はじめに
第1章 なぜ「残業ゼロ」で人生力が上がるのか
 人生トータルの「勝ち組」を目指せ
 毎日三時間を「本生」の準備に投資する
 諸悪の根源はまたも残業
 日本人が苦手な「お金」の考え方
 仕事期に稼ぐ目標額を試算せよ
 「仕事沼」にはまらないよう注意する
 努力ではなく成果を評価する
 「自立した個」が活躍する時代
第2章 「仕事力」あっての「人生力」
 残業が「仕事力」を奪う
 まずは始める。そして続ける
 「仕事力を上げる」が「人生力を上げる」の大前提
 仕事力=能力×時間×効率
 効率五倍で売上五倍
 効率化の第一歩は「TTP」
 「デッドライン」の二大ポイント
 ニッポンの「本生期」の現実
 人生の収支決算を黒字にするために
 定年後にネガティブなのは日本人だけ
 「健康」「幸福」「富」を準備する
 「パフォーマンス三角形」のベースは体力
 急増する糖尿病もうつ病も残業が原因
 その会社の平均寿命は何歳か?
第3章 「残業ゼロ」の次は「バカンス」を実現せよ
 世界は疾病休暇なのに、なぜ日本は有給休暇?
 未消化の有給休暇が消えるのは日本だけ
 一週間では長期休暇ではない
 バカンスは「本生」の予行演習!
 夫婦ふたりきりで二週間過ごす自信がありますか?
 新入社員でも夏休みは一カ月
 「あきらめ癖」はイメージ力でなおる
 ゴールデンウィークは本当に黄金色?
 有休完全取得の経済効果は一一・八兆円
 これが吉越流バカンスだ!
 長期休暇のビフォア・アフター
 バカンスがとれるのが「おとなの組織」
 最後は自分で考え、行動を起こす
第4章 「残業ゼロ」なら子育ても楽しい
 必要なのは「競争社会」を生き抜く力
 世界はもっと野性的で、もっとハングリー
 子どもには上下関係を教えよ
 まず「親子の会話」を増やすことから始める
 子育てを楽しめるのは反抗期まで
 共働き時代の新しい制度を!
 母親の役割、父親の役割
 母親にしか教えられない「気づき」の力
 子どもにも残業をさせるのか
 「自立した個」になるために
第5章 人生を豊かにする人脈術・交流術
 それまでの「当たり前」が消失するのが定年
 仕事のゲームオーバーで人脈もリセット?
 パーティーではセンターテーブルにいる
 夫婦同伴がオフ人脈につながる
 教養はオフの人脈を広げるカギ
第6章 吉越流「本生」の愉しみ方
 「仕事の達人」が「人生の達人」ではない
 自分の生活は自分で一〇〇%デザインする
 夫と妻の温度差が広がるニッポン
 一万語対一〇〇語の会話
 会話は夫婦一緒の食事から
 ゲームプレーヤーから「本生」へ
 ソフトランディング作戦で「荷降ろし現象」を防ぐ
 私の「本生」計画
 愛する人とバラの香りをかごう

本書はただ単に残業をしない事を勧めている本ではない。
残業が当たり前という日本の社会風土を根底から再構築し、仕事の効率化を図ることによって残業を無くしていく事で会社にとっても自分にとってもプラスになるwin-winの関係を実現する。

その結果、自分自身に費やせる時間を作り、「本生(本書では本番の人生、本当の人生の意)」を豊かにする事を教えてくれたのが、本書「残業ゼロ」の人生力だ。

カルテ1:なんのための仕事ですか?

体力が全てのベースになるという事実。気合い・根性は日本人の好きな言葉だが(日本人は精神論が多い)、これも体力ありけりの話であって、日々の仕事に疲れ切っている体にムチ打って気力のみを使っていると体調を崩すというのは自明の理。そして最後に待っているのは鬱・過労死・自殺という現実。
死ぬ気で働くとはよくいったもんだが、これでは死ぬために働いているようなもの。
生きるための仕事なのに。。。まさに本末転倒だ。

今の日本の社会を覆うネガティブスパイラルのフロー

  1. 仕事をする
  2. 残業をする
  3. 帰宅するのが遅くなる
  4. 夕飯をドカ食い
  5. 体調を崩す(「パフォーマンス三角形」縮小)
  6. 体調が悪いまま仕事をする(効率が下がる)
  7. 週末は体調を戻すことに費やされる
  8. 満身創痍で1に戻る

win-winの関係が築けるポジティブスパイラルのフロー

  1. 仕事は就業時間内で終わらせる(作業の効率を上げる努力をする)
  2. 定時に帰宅
  3. 規則正しい食生活
  4. 家族間のコミュニケーション、読書等、「本生」へ向けての投資時間
  5. 十分な睡眠時間(吉越さんは8時間睡眠推奨!)
  6. 1日分の体力の消耗量がしっかり回復する
  7. 週末は出かけたり、投資時間に使う
  8. 準備万端で1に戻る

カルテ2:大切な人、ほんとうに大切にしてますか?

ワークライフバランスはワークワイフバランスから。
女性からすれば、ワークハズバンドバランスか。
本書では、生涯共に生きていく人との関係が一番大切だと述べられている。

自分も妻帯者としてこの言葉に気を引き締められた。

人生で一番長く付き合っていく人 = 人生において大きな比率を占める

という事であり、この部分をおろそかにしていると人生力を上げることはできない。
日常のコミュニケーションが大切であり、そんな日常の積み重ねが実りある人生の道を築く。

カルテ3:いま何期ですか?

人生を大きく分割すると、「学生期」「仕事期」「本生期」という3つのフェーズになる。

「学生期」

経済的にも自立していない、社会的にも未成熟な時期で強いて言うなれば、「仕事期」に向けてハクをつけるための期間。

「仕事期」

経済的にも自立することができ、社会に貢献できるようになる。一方で、時間的束縛も強くなり、自分の時間が非常に短くなる期間。

「本生期」

仕事を退き自分の本当の人生が始まる期間。


この中で一番長い期間というと個人差はあるだろうが「仕事期」だ。
自分は「学生期」を終え、「仕事期」というフェーズに入って五年目である。
本書の中でも「学生期」「仕事期」は「本生期」への準備期間と書かれており、充実させるのも、つまらなくさせるのも「本生期」までどうやって過ごすか。その一点にかかっている。
そのために、本書の2章は真っ先に読んでもらいたい所だし、その中でも【「健康」「幸福」「富」を準備する】は何度も読み返し、刻みつけておきたい。
さあ、今あなたはどこにいるだろうか?

え?お前は「残業ゼロ」になったかって?


日々の業務の内容が二転三転することも多々あり、仕事の量が急に増えることもしばしば。
そのため、自分の思い描いている作業工程のように進んでいかないのが現実ではあるが、「思うようにいかない」事が分かっているのなら、それも視野に入れて考えれば良いだけだ。

本書を読了した翌日から残業ゼロとはいかないが、2年、3年後と積み重ねていったものはいつか必ず実を結ぶはずである。

関連リンク:
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