パフューム 良くも悪くも強烈な匂いの作品

異臭漂う街で生まれ落ちた主人公は生まれながらにして抜群の嗅覚の持ち主だった。
身よりの無い彼は、同じ境遇の子供らが集まる施設へ送られる。しかしそこは人身売買のための施設で、働ける歳になった頃、彼は過酷な仕事へと就くことになる。
そして、ある時仕事で訪れた街で今まで経験したことのない”匂い”を知る。オレンジを売る女性から発せられる匂いに導かれるままに行動をする。そして事故でその女性を殺してしまう。
しかし彼の中では匂いが全てだった。女性の香りを脳裏に焼き付けたあと、彼は思う。

「この香りを永遠のものにしたい」

その後、彼は街の売れない香水調合師に弟子入りを申し込むが断られる。
そこで、この調合師のライバルの店が売る人気の香水「愛と精霊」を目の前で調合してみせた。
数日後、彼は調合師から引き抜かれ、その元で香りを閉じこめる方法を学びながら「愛と精霊」を越える香水を次々に生み出した。

そしてついに香りを閉じこめる「蒸留法」を教わる。
だが、主に花や食物にしか効果のない蒸留法では生き物や無機物の香りを閉じこめられない事を知る。
しかし、「冷浸法」という技術があれば可能ということを調合師に教わり、その技術を求めて、香りの都へ向かう。

その都で職人として働きながら冷浸法を身につけた彼はついに行動を起こす。

パフューム スタンダード・エディション
パフューム スタンダード・エディションベン・ウィショー.レイチェル・ハード=ウッド.アラン・リックマン.ダスティン・ホフマン, トム・ティクヴァ


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・・・というわけで。
ここから先は実際見てね、ってことなんですが、この映画は怖かったですね。
殺意でもない、悪意でもない、「香りを得る」っていう純粋な目的のためだけに行動する主人公の異常さが。


これを最後まで観て、彼をあれほどの猟奇的な行動にかりたたせたものって何だったんだろう?と思って考えてみた結果、
彼自身が絶対的な「無」の存在に等しかったがための、不変的な「有」を求めたから。
ではないのかと考察。
でもそれがなぜ香水なのか?っていうのも彼が、天性の嗅覚を持ち合わせて生まれた事、生まれながらにして天涯孤独であったこと、母の愛やぬくもりを本能的に求めた事などを考えて観たら、彼の中で孤独を埋める(愛を求める)方法を考えた結果が「香りを閉じこめる」という目的になったのではないだろうか。
”匂い”という全ての物に存在するものが、主人公の彼には無かったというのも大きな動機の1つ。

ラストを少しだけ言うと、彼は目的を達成して生まれた街に戻ります。
そこで驚くべき最期を迎えるわけですが、生まれた街に戻るまでの彼の心境を言葉にするなら、
孤独を逃れようとした行動の先に待っていたのは最初と同じ孤独だった。ということ。

あっけなかったんですが、その気持ちを思うと最期にはその道しか残ってないよなぁ、と妙に納得したエンディングでしたね。


この映画は冒頭部分に強烈なシーンが頻繁に出てくるので、タイトルに騙されてオサレ映画だと思い、食事中などに観ないように!!

と、経験者が言っています。