時間をこの手に 書評 - レバレッジ時間術


ノーリスク・ハイリターン。

そんなうまい話はこの世に存在しない。

が。


こと「時間への投資」に関していえば、熟達すればするほど、本当にノーリスクで、複利のそれどころではないくらいリターンを得ることが可能ではないか。


1日は万人にとって24時間。

それでも、「あっという間に1日が終わる」「時間がもっとほしい」と思っている私、もしくは、あなたに足りないのは「時間術」かもしれない。

本書「レバレッジ時間術―ノーリスク・ハイリターンの成功原則」は、レバレッジ(梃子の原理)の達人、本田直之氏による「時間投資」のノウハウがぎっしり詰め込まれた1冊。

忙しい、自分の時間を増やしたい、キャリアアップしたい、収入アップしたい人必携の1冊。

そして時間という軸の上に生きる、すべての人たち必読の1冊である。


目次

プロローグ あなたがいつも忙しい理由


  「忙しい」ことはカッコいい? 
  一時間かかっていたことを五分で
  時間を「消費」する人、「投資」する人
  労働環境をめぐる二つの変化
  切羽詰まっている人ほど成果が上がる
  「忙しい」と言わない、をルールに
  面倒くさがり屋だから成功する

第一章 時間も「投資」で増やす時代


  「週九〇時間労働」の何が間違いか?
  「時間度外視」の仕事はありえない
  時間資産は雪だるま式に増える
  何もしないでいるほうがリスク
  時間投資の基本は「仕組み」づくり
  やりたいことの時間を「天引き」する
  増やした時間は「再投資」に回す
  「再現性」を持たせなければ意味がない
  「節約」でブレイクスルーは起きない
  リサーチ→スクリーニング→利益確定
  新人の時間投資、経営者の時間投資
  スピードだけ上げてもムダになる
  「ワークライフバランス」をめぐるカン違い
  モチベーションの低さこそ問題
  あまりに短い、日本人の「自己投資」時間
  日本人はもはや「働きすぎ」ではない
  低い労働生産性、その果てに......

第二章 成果はスケジューリングで決まる


  レバレッジ・スケジューリングの三本柱
  俯瞰し、ゴールから発想する
  カレンダーこそベストのスケジュール帳
  「課題」がなければ「成果」もない
  「ランチ」「ディナー」も三カ月戦略で
  準備期間一年弱で大学に現役合格
  個人の「事業計画」をなぜ持たないのか
  レバレッジ資格試験必勝法
  時間家計簿でダラダラ時間をチェック
  成果を数値化して時間の「厚み」を分析
  「インプット」の時間をまず天引きせよ
  「時間割」をつくれば頭も体も勝手に動く
  デキる人は自分の「時間割」を持っている
  毎朝の「タスクリスト」はゴールへの最短ルート
  成果を生み出さない「ToDoリスト」
  一枚のチェックリストの大きな投資効果
  出張の荷造りもチェックリストで効率化
  小さなこともリストにして習慣づけ
  パソコンと手書きをどう使い分けるか
  つくりっぱなしにせず常に持ち歩く
  「リマインダー」機能で組織の時間を効率化


第三章 仕組み化・パターン化の絶大な効果


  「時間割」のある生活は快適
  「習慣化」で集中力も高まる
  残業せずに仕事を仕上げる「仕組み」づくり
  目的は「規則正しい生活」ではない
  面倒なこと、苦手なことこそパターン化
  時間がありすぎるから、時間がなくなる
  一〇〇点が必要な仕事、八〇点でいい仕事
  「あいつは早く帰るヤツ」と思わせる
  セルフコントロールが苦手な人でも
  フレックスタイム制も使い方ひとつ
  「仕事九〇分、休憩一〇分」で頭を活性化
  ミーティングの時間も「一コマ単位」で
  よい睡眠は日光を浴びて起きることから
  「早寝早起き」から「早起き早寝」へ
  目覚まし時計は脳によくない
  「ビフォア9」の使い方で人生が変わる
  午後の成果を左右する「一五分昼寝」
  週末も平日と同じ時間に起きる
  暗記作業は寝る前にするのがベスト
  休日は「しないこと」を決めておく

第四章 「Doing More With Less」の哲学


  モットーは「Doing More With Less」
  一〇分の一の時間で仕上げる方法を考えよ
  「人に任せる」は究極の効率化
  優秀な人の成果が頭打ちになる理由
  自分のKSFを見つけているか
  ビジネスも「過去問」と「合格最低点ねらい」で
  なぜ意思決定は即座でなければいけないか
  最悪なのは情報不足のまま迷い続けること
  なぜ判断に時間がかかるのか分析を

第五章 時間密度を高める「チリツモ」技術


  成果を前提にした「チリツモ」効果
  一冊一万円の雑誌でも全部を読むな
  名刺のベストな整理法は「捨てる」こと
  ノートPCより便利な「リモートメール」
  テレビはリアルタイムで見るな
  機器のマニュアルは必ず読む
  電車に乗らないという生き方
  特急電車の三〇分より各駅停車の四五分
  「三〇分の自分時差」が生む大きな付加価値
  都心に住むという生き方
  メイン・オフィスはバスルーム


そしてこの表オビ。

時間に時間を「投資」する方法
  • まず基本は仕事しやすい「仕組み」づくり
  • あなたのしているのは「投資」ではなく「消費」
  • 時間の「節約」ではブレイクスルーしない
  • 「時間割」をつくれば頭も体も勝手に動く
  • 「早寝早起き」は難しいが「早起き早寝」なら簡単

どうだろう、あなたにも思い当たるフシは無いだろうか?

わたしはあった。あったから読んだ。読んだから分かった。

時間がありすぎるから時間がなくなる

 誰もが経験のある、夏休みの宿題を例に挙げ、休みが長すぎるが故に、残りの休みが10日を切ったあたりから「時間が無い!」と焦ってしまう。もし同じ宿題の量で1週間しか休みが無かったら、もっと計画的に時間を使っていただろうと著者は言う。

「人間は目の前の怠惰に流される」

自らを複利運用 書評 - 無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法 - ポジろし
 大事なことなので2回言いますが、人間の意志の弱さ、楽に逃げてしまう弱さを受け入れなければ、これからも「無理⇔怠惰」を繰り返すだけで終わってしまう。


色々なことを考え計画し、時間を有効活用するつもりが、結果的に自分を追い込み、無理なスケジュールに翻弄され、疲れ果てて、長続きせず、いつも時間がもっとほしいと嘆く。

時間を貯めるには


  1. 自分の使う時間を少なくする
  2. 他人の時間を使う


仕事にしても私生活でも削れるところを徹底的に削る。

著者は自分の「時間割」を作ることを推奨している。
「インプット」「アウトプット」「生活」「プライベート」の4つカテゴリーに分けるだけ。

「インプット」は、時間を生み出すための時間投資にあてる部分。

「アウトプット」は、仕事などの拘束時間。

「生活」は、食事、睡眠などの生活時間。

「プライベート」は、買い物、映画などの自由な時間。

本田さんが自らの時間割とともに、無理をしない、それでいて無駄のない、自分に合った「時間割」を見つけることが、時間投資の第一歩だという。

この時間割の利点と効能はぜひ本書で確認していただきたい。


2つめは、自分ではなく、他人の時間を使うこと。

時間の使い方の中で、一番効率がよいのがこの方法。
他人の時間に「任せる」ことで自分の時間を確保する。そして、任せるにはそれ相当の対価を払う。


時間をコントロールしたければ俯瞰逆算



時間を俯瞰し、スタート地点から順行型で積み上げていく計画はやめ、ゴールから逆算して物事を考えるように訓練していくことで、「自分の位置」と「進み具合」がはっきり分かるようになる。


わたしも自分の1週間の時間の使い方を、とりあえず書き出してみた。

するとやはり、読書やブログ書きに費やす能動的時間よりも、食事しながら惰性で見るテレビなどの受動的時間や、何をしようか考えていても結局何もしていない不明時間のほうが多い結果となった。

そこで、わたしは、テレビを見る時間を極力減らすことにした。
どうしても見たい番組は録画してから見るようにし、思っていたより面白くない場合は躊躇なくとめてそれ以上見ないようにするだけで、かなりの時間捻出効果があった。

不明時間については、メモ帳を持ち歩く習慣を身につけ、やっておくことや、行きたい場所など、気になることをその場で書き留めることで、思い出す時間を減らせた。


しかし、このレベルでは、まだ弱いと思っているのも事実。
だがこれでいい。それは第一歩を踏み出したから。

これから「インプット」を増やし、どれだけ自分の時間にレバレッジを効かせていけるかが、今後のわたしのWILL DOだから。


この不況、社会に投資する金を捻出するのは万人が実践できることではないが、720円で、自分に投資する時間を捻出することは老若男女、貧富を問わないだろう。

時間観が変われば、人生観は想像以上に変化するのではないか。
わたしはその可能性に大きな期待を込めて、これからも「レバレッジ時間術」を実践していくだろう。