一票の価値は 書評 - 若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?
選挙いってますか?
私は20歳になり、選挙権を得たときから欠かさず投票所にいって選挙に参加している。
でも、新聞もとっていないし、政治に詳しいわけでは、ない。
開票結果を見ても、何百万、何千万のうちのたった一票にしかカウントされないし、行っても行かなくても結果は変わっていない。
それでも、今の私たち(20歳代)にできる最良の手は「選挙にいく」ことに尽きるといえる。
本書、「若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?」はMAJIBIJI世代のための政治リテラシー講座の内容を書籍化したもの。
- 第1章 若者は政治によって損をしている!?
- 第2章 主役は、「有権者」のはずだけど……
- 第3章 実は「国会議員」の力は弱い!?
- 第4章 「特別利益団体」を知らずして政治は見えない
- 第5章 「官僚組織」の「官僚組織」による「官僚組織」のための政治
- 第6章 政治を変えるのは、あなた!
近年、日本の政策は若者には厳しく、年寄りには甘い『老尊若卑』の傾向にあるのは決して気のせいで済むレベルではなくなってきた。
働けど働けど、毎月何万もの税金が引かれ、貯金もままならないというのに、割引制度はシルバー○○のようなお年寄り向けばかり。税金は年齢に関係なく徴収されるものの、払った税金以上の受給を受けている世代がいることも事実。
「あ、でもオレらも、あと何十年かしたら、受給されるから一緒じゃないの?」
残念ながら、そうは問屋が卸しません。
今の政府が打ち出す政策のほとんどが、付け焼き刃、その場しのぎの政策ばかりで、未来に借金と不安を残すものばかり。
なぜ?―― 高齢者が優遇されるのには理由がある。
結論からいえば、投票率がその最たる理由で、20歳代の投票率は35%、60歳代の投票率は75%だから。
2005年の総選挙のデータ、世代間の投票率の違い
( MAJIBIJI世代のための政治リテラシー講座: 第79回 若者よ、選挙にいかないままでいいの?)
日本の政治の基本
政治とは、幼稚園児のおもちゃの奪い合い、高校生の不良の喧嘩、
企業の社員間の社長の椅子取りゲーム、
さらには団体スポーツの勝ち負けとさほど変わらないもの、
というふうに考えて差し支えないです。
競争のルールが異なるだけなのです。
要するに、政治家は「勝てば官軍」の集団ということです。
政治家が勝つためにすること→票を集めること
本書にも、分かり易い例えがあったので、ここで引用します。
政治家を八百屋として、政策をニンジンとし、有権者は客、投票数をお金と考える。
客が2人やって来て
1人が350円で、もう1人は750円でニンジンを買うという。
どちらにニンジンを売りますか?
どちらに売るかは考えるまでもないでしょう。
選挙を自ら棄権する層や、無党派層(浮動層)に、政治家は興味がありません。
そのような民主主義の歪みが生んだともいえる今の政治が打ち出す政策は、力ある有権者層(60歳代)のご機嫌取りと考えればよいかもしれません。
この調子でいくと、本来もらえるはずの受給はストップし、今まで払い続けてきた税金が水泡と帰すことは想像に難くありません。
それが、現在、受給を受けている世代と、将来、受給が受けられない世代の間に、四〇〇〇万もの受益格差を生み出すことになる、と著者は分析しています。
今まで私は「一票の重みはたいしたことない」と思っていました。
しかし、実のところ、年代別に分けた場合の一票は想像以上に、重い。
政治家は口々に「国民の民意を聞いて」と声高に叫ぶものの、投票率の低い私たちの世代はアウト・オブ・眼中だということを知らなければなりません。
王手飛車取りの好手
しかし、この悪い状況を変える方法がたった1つある。
それが、「票を投じる」こと。
「おれ、選挙とかどーせわかんねーし。」
わからなくても結構。あなたの一票で当選する人は変わりはしないのだから。
気に入った顔か名前で決めてよし。
著者いわく、鉛筆を転がして決めろ。
最初はそれでいい。
投票所に行ったこともない人は、おそらく、色んな手続きがあって、めんどくさいんだろうな。と思っているかもしれないが、実際は送られてきたハガキを持っていって、紙に名前を書く。それだけだ。書くのがめんどくさいなら白紙で出してもいい。それも立派な投票だ。
そうして、若者の投票率が40%、60%と上がっていけば、政治家も見過ごせなくなるだろうし、若者を優遇する政策を打ち出さざるを得なくなるはず。
そして、なによりもそうなる様を見てみたい。
外せない予定が・・・
選挙日にどうしても外せない予定がある。
そういう人のために、期日前投票制度 - Wikipediaという制度も設けられている。
私も、過去に期日前投票をした経験があるが、こちらの方法だと混雑もなくスムーズに終えることができるので、「投票ごときに時間はかけたくない」人はこちらをお薦めする。
正直なところ、私自身もまだまだ政治に疎い。
しかし、そこは「最初から疎くないヤツなんていねーよ」と開き直っている。
知らないことは何もかっこ悪いことではない、知ろうとしないことがかっこ悪い。
有権者とは、選挙に参加する権利を与えられた人であり、参加しない人が外野から野次を飛ばしたところで、何の権力もない。権を行使して初めて権力が発揮されるのだから、これを使わない手はないだろう。
総括
- たった一票の重みを知りましょう
- 投票しない人には、文句をいう権利すらないことを知りましょう
- 損をしたくないなら選挙に行きましょう
- 国に搾取され、高齢者が甘い蜜をすすっているのを、指をくわえて見ているのが嫌なら、権を行使しましょう
(p.186)
投票所に行こう。
政治リテラシーをあげて、自分が最良と思う候補者を選出しよう
まずは、一票を投じるというアクションを起こしましょう。
それから「政治ってなに?」と思ったのなら本書を手にし、政治に関するリテラシーを上げていけばよい。本書はその何?に答えてくれる内容だ。
清き一票、自分のために活かしませんか?