接する人はみな教師 -漫評- マイガール


単行本1~3巻を読みました。
恋人の訃報と共に笠間正宗のもとにやって来たのは幼い少女。亡き恋人が残していった5歳の娘...。

主人公の正宗くんは働き始めて間もない23歳。

そこに5歳のコハルちゃん。

逆算すると、18歳の時の子供ということになり、「正宗、草食系男子風のくせに、やるな。」とか「頭良さそうだけど、賢くはないんだな。」などリアルに考えてしまったんですが、読み進めるほどに、引き込まれる。


正宗とコハルは互いに敬語だし、正宗と実父もなんか他人行儀に話すし、5歳の子供に「我意(がい)」とか難しい言葉わからんだろうと、つっこみたくなるけれど、人が自らを幸せだと感じることは難しいことではなく、人は人を想い、人に想われながら、ひたむきに生きていることを痛感させられる。

なんといっても正宗くんの性格が素敵。

まじめで、小器用で、優しいけれど、仕事はできない。
思慮深くて、気が利くけど、運動音痴。

その中でも、仕事ができないっぷりは全米が泣き出すレベル。突き抜けていて気持ちいいくらいだ。
ボツになった企画書をコハルがこっそり集めてクローゼットの中に隠している話がでてきたが、ざっと20案くらいはあったように思う。山積みされた紙の山が悲しい。なかなか環境にも厳しい男、それが正宗だ。

企画書の駄目だしでヘコんでずる休みしたり、コハルにまで自分の弱い一面も見せるが、この’素直さ’こそが正宗の最大の強みであり、魅力であると私は思った。

「自分の思いを打ち明けること」「頼ること」に関しては、正宗はピカイチであるのだ。

私自身も、不安や迷いはたくさんあって、押しつぶされそうになるけど、人に聞いてもらったら意外と小さな問題だったことに気づいた経験は、多い。
でも、思春期のころを思い返すと小さな問題を自分で大きくして周りに当たり散らしていたこともあったっけ。
自分がトゲトゲしている時は、周りもトゲトゲしている(ように感じる)。

人は自分を映す鏡とは、まったくその通りだと思う。

もうすぐ人の親となる身としては、正宗くんに学ぶことはたくさんある。そして生まれでてくる子供からも。

接する人はみな教師。

父親1年生として、自分も生まれたばかりの子供と同じように成長していかなきゃな。と感じた。