マンガノチカラ/プロフェッショナルの流儀 浦沢直樹と井上雄彦の言葉

録画しておいた番組に浦沢直樹さんが出ており、その後何気なく点けたテレビで井上雄彦さんが出た。

多分、まったく違う道を進んできたであろう2人の漫画家は、共通して、どこか達観した雰囲気を纏っているように見えました。


以下、うろ覚えながら心に残った言葉を書き留めておきます。


浦沢:マンガの殿堂には大賛成。でも、漫画の歴史に昔から存在するエログロチズムやエロティックを殿堂に入れないのは間違っていると思う。

井上:(お杉婆に対して)恨みのモチベーションだけで生きてきたような人ですからね。でも、最期の時まで恨みを抱いてる。っていうふうにはしたくないんですよね。

浦沢:これは新しいぞ!と思って書いたものも手塚さんの作品を見るとすでに使われていたりする。孫悟空がお釈迦様の手のひらの上で回っているような気分。

井上:バガボンドは自分を成長させてくれた。

浦沢:サブカルチャーがサブでなくなってメインになるのは、今までもずっと繰り返されてきたこと。

井上:(武蔵のセリフに対し)これをここで言っていいのか?という思いはあった。これを言った瞬間に「武蔵の戦いは終わりに向かっていくんだ」という気持ちになった。

浦沢:右手を自由に動かすために、左肩と左手を机にがっちり固定するんですよ。そしたら左肩を脱臼した。

井上:世代が違っても普遍的なメッセージを伝える為には、やっぱり「人間」を描かなきゃいけない。

浦沢:調子がいいときはヤバいんですよ、いい絵が描けた次の日はだいたい調子悪いもん(笑)

井上:プロフェッショナルとは、向上し続けるひと。

浦沢:世間では「たかが漫画」くらいに思われてほしい。でも、僕の中では「漫画は芸術」で在り続ける。

浦沢:自分が面白いというものを書くことと、世間で受けるものを書くこと、どちらも譲れないからその2つの間で悪戦苦闘し続けてきた。

浦沢:映画に進出・アニメに進出、まるで音と映像になったらステップアップしたかのような扱いが気に入らない。いいじゃん、漫画で。

才能が作品を生むのと同じくらい、作品によってその才能を開花させてきた2人の漫画家。

読んだ人の心に強く残る作品というのは、絵の巧拙だけでは決して、ない。
favicon 「バガボンド」を生み出した“根っこ”
格好をつけていたり、意気がっていたり、中途半端なところに留まっていたのは駄目で、裸にならなければならないという。

作者の生き様、思想、その他すべて、つまり「作者そのもの」がペンを通して表現されて、登場人物に個性が生まれ、物語を紡ぎ1つの大きな流れになっていくんだな。と強く感じた。

たかがマンガ、されど漫画。

「人生観変わるくらいの漫画」の存在は、ヘタなビジネス書より得られるものは大きい。
そしてそれを生み出す作者の存在なくしてはあり得ない。それが、されど漫画といわれる由縁でもあるのだろう。

favicon FILE084:「21世紀 マンガノチカラ」 - 爆笑問題のニッポンの教養 浦沢直樹(漫画家)
超えられないわって思った段階で、あるちゃんと真理が分かっているんです。