寓話で終わらせたいモノガタリ - 書評 - ヘッテルとフエーテル


寓話。
それは道徳的な教訓を伝えるための短い物語・たとえ話である。

p.147
この資本主義全盛の世の中にお金の寓話がないのはおかしい、そう思ったのが本書を書いたきっかけです。


不況、デフレにあえぐ今の時代ほど、本書の価値は高い。

高い山を登る心構えが必要な一冊 - 書評 - 効率が10倍アップする新・知的生産術 - ポジろし
要するに、本書はLv99の勇者のステータスで語られている本であり、16歳で目覚めたばかりの勇者からすれば、「理想」ではあるけれど、「実現的」ではないのだ。しかし本書を読了すれば、だれしもが「俺/私も」と奮い立たせられるのも事実だろう。

それで、いざ実践の段になるとあまりにも高い山に、「ちょw高すぎ。まじで。」となるのも自明の理。

勝間山脈はヒマラヤ山脈よりも過酷だ。

ならば、先人たちが落ちていったクレバス。もとい、「失敗の落とし穴」を覗いてみるのはどうか。

成功本とは違った「気づき」がそこに、ある。

目次:Amazonより引用
第1話 ヘッテルとフエーテル
第2話 カネヘルンの笛吹き
第3話 ピノキオ銀行
第4話 アホスギンちゃん
第5話 ヤンデレ
第6話 ヘッテルと7人のODANPO
第7話 王様の金はロバの金
第8話 裸のフエーテル様


本書、「ヘッテルとフエーテル 本当に残酷なマネー版グリム童話は、心配性でいつも不安な妹、ヘッテルと、お金のことばかり考えてる兄のフエーテルを始めとする、寓話の世界の人物が、時に欲につられ、時に不安に駆られ、目も当てられない失敗をしてしまう、アン・ハッピーエンド・ストーリーの数々。


「むかしあって、これからもおこるはなし」

書き出しはすべてこの1文から始まる。そして、この1文が本書をもっともよく表している。


「他人の不幸は蜜の味」とはいうものの、現実にも同じような悲劇が、繰り返し起こっていると思うと、もっと多くの人が読んで、あなたの財布を目がけて忍び寄る「うまい話」「きれいな話」への免疫をつけるべきだと感じた。


フエーテルの香ばしさに、泣いて、
ヘッテルの猛スピードで転落っぷりに、目を伏せた。

こんなダーティな寓話の中では、グリーム婆さんさえ天使に見える。

口癖が「アホすぎるんとちゃうん?」な、アホ・ズキン・チャンの男前っぷりに私はシビレた。
「おまえ、国と会社に
 だまされたのに
 何も文句を言わないなんて
 アホすぎるんとちゃうん?」

このセリフの熱さはぜひ本書で確認していただきたい。


危険すぎた前書き 【期間限定?】 - マネー・ヘッタ・チャン 物語るモノガタリ
すでに本を読んで頂いた方はご存じだと思いますが 今回の著書には前書きがありません
モノガタリという性質上、著者の考えを初めに持ってくることは 適切ではないという判断の元、掲載を見送りました
ただ、今回ヘッテルとフエーテルを読んでくださった方からのメールで、 前書きについて、ないのはなぜですかという質問があったので 改めて「前書き」を読み直したところ、

これは載せたい

と思ったので以下に掲載します。 出版社からNG出たらすぐ消します

いまのところNGは出ていないようなので、本書を読んだら「まえがき」も読んでおくとさらに免疫力がつくだろう。


山を目指して踏み出したその1歩目から躓かないために。

寓話を実話にしないために。

そして、なにより、あなたのために。